原田 進 HARADA, Susumu
正会員
左官/大分県日田
「壁を創る人たち」。
僕たちの会社の名刺にはそう書いてあります。壁を創ると言いながら、実は「壁と壁のあいだを塗る」という気持ちでやっています。
土や藁や砂や石灰を水とまぜて壁に塗ると、その壁に包まれた空気や雰囲気、つまり「あいだ」が人にとってえらく居心地がいいものになるからです。土壁を家に入れると家がよくなる。家と家のあいだに入れると街がよくなる。土の影響力に驚きながら、仕事をしています。
原田左研 代表。1958年大分県日田市生まれ。現在も在住。76年、大分県立日田林工高等学校卒業後、父の下で左官修業。80年、熊本県立職業訓練短期大学左官科に入学するも、81年『左官教室』の記事を読んで久住章さんの弟子になろうと思い立ち、そのままバイクで一路淡路へ。住み込み弟子として修業に励む。82年以降、日田に戻り実家で働きつつ、久住さんの現場があるとなればはせ参じ腕を磨く日々が続く。92年、大分県湯布院の擬洋風建築「旧日野病院」(1894)の修復に取り組む。96年、38歳で親方に。福岡県香椎の「東照寺別院納骨堂」に取り組む。2001年、焼酎「いいちこ」で知られる三和酒類の「安心院葡萄酒工房」で、オリジナル配合で漆喰に土をまぜる「土漆喰」を本格的に使用しはじめる。この年から2011年まで毎年、ドイツのアーヘン工科大学のマンフレッド・シュパイデル教授のサマーセミナーで、講師を務める。05年、江戸時代の面影を残す日田市豆田町が伝建地区に指定、その修復のための「施工資料」作成にあたる。07年、日田市市民ホール「パトリア日田」で、1000㎡を超える漆喰や土漆喰を塗る。11年、福岡でかまくらのような座敷「時空庵」を塗る。12年、さまざまな日田の職人が集い後継者を育成する「一般社団法人 日田職人会」を立ち上げる。同年、「一般社団法人 日本左官会議」初代議長に就任。2013年の公益社団法人化を経て、2015年5月まで議長を務めた。