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石巻の土蔵から見える「世界」上映会&トーク ご来場ありがとうございました

9月4日、台風が広い地域を襲っていたにもかかわらず、せんだいメディアテークで開かれた「石巻の土蔵から見える『世界』——齋藤氏庭園土蔵修復の軌跡」上映会&トークには、多くの方にお越しいただきました。まことにありがとうございました。

第一部は、泉田英雄さんによる講演。被災した文化財とその後の修復の様子を輪島や気仙沼の事例を用いて語り、古い建物を無くすことは文化の一様化につながり、ひいては地域の文化を消滅させることであると、文化財の意義について多面的に語りました。

第二部は、齋藤氏庭園土蔵の修復を追ったドキュメンタリー「石巻の土蔵から見える『世界』——齋藤氏庭園土蔵修復の軌跡」の上映会。自然と歩調を合わせ、先人の声に耳を傾け、よりよい方法を模索しながらすすむ土蔵修復の過程が描かれました。いまではあまり知られていない齋藤氏の業績も丁寧に紹介、土蔵は地域や歴史と共に生まれたものであることが実感できる映像でした。

続いて行われたのが、実際に土蔵修復に携わっている左官の小林隆男さんと、監督の卜部弥生さんのトーク。映像では誠実な仕事で感銘を与えたばかりの小林さんは、実は笑いをとったりボケたりしないと気が済まない関西人気質の持ち主。現場で長い時間を共に過ごし、気心の知れた卜部さんとは息もあっていて、和やかなうちにすすみました。

腰に石を貼ったり版築を使うなど、ほかの地域の土蔵ではあまり見られない手法や、現代ならではの改良方法を解説したり、扉の裏側に書かれていた職人の名前に想像を巡らせるなど、映像と共に土蔵のさまざまなみどころが伝わってくる内容。参加者のみなさんは熱心に聞き入ってくださって時間はあっという間に過ぎ、質疑応答もたいへん盛り上がりました。

今回は残念ながら、台風のためにお越しいただけなかった方もいらっしゃいました。またこのような機会を企画できたらと考えています。

笑いを交えての小林さんと卜部さんのトーク。山田宮土理さんが作成した土蔵の構造について解説中。
撮影/萩野紀一郎
土蔵に使われていた土やわらび縄、今回、使っている赤土の塗りサンプルなども展示。
会場となったせんだいメディアテーク。夜になるにつれて風が強くなった1日でした。 撮影/萩野紀一郎

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